伯父は損害保険会社に勤務する部長で、伯母もかつては同じ会社に10年間勤め社内結婚した間柄である。
従姉の道子はテレビ局勤務のアナウンサーをしていたが、結婚を前に退職し、現在はフリーアナウンサーとして、勤務していた会社の仕事をしたり、他局のナレーションをしたりしながら、真人の会社の社員としても仕事をしてもらっている。
「新婚旅行は、北欧だったよね?」
真人は、道子が楽しみにしている結婚の事を聞いてみた。
この話題になると道子は、からだを揺らすように満面に笑みを浮かべて喜びを表す。
伯父も伯母も、今は道子の結婚式など、その準備に忙しい毎日を送っている。
「どんなルートで周遊するのか教えてあげるわ」
そう言うと道子は、ツアー予定表を広げた。
「初日は、フィンランドのヘルシンキ市内を観光した後、ヘルシンキからスウェーデンのストックホルムまで、大型客船でバルト海クルーズを楽しむのよ」
結婚式と披露宴は質素に行い、新婚旅行に費用をかけるのだと、真人は以前道子から聞いていた。
「あっ、・・・デラックスクラスの部屋じゃないか。船中泊の優雅なバルト海クルーズだな」
真人は、少し大げさに道子達の旅行案内書に目を通しながら言った。
「そうなのよ。・・・新婚旅行ですもの。・・・バルト海を眺めながらの快適な船旅になりそうだわ」
そう言いながら、道子は真人の顔を見て、照れ笑いをした。
それからの時間は、道子の新婚旅行の話で盛り上がった。
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