深く交わると、春子はこれまでになく身悶えしながら甘えた。
「まだ、・・・ずっと、・・・あなたと一緒に、・・・旅行を続けたいわ」
春子の声が、かすかに震えている。
抱かれている喜びと快感が、春子のからだを、声を、揺り動かしているのだ。
「こんなに毎日、・・・真人と一緒にいられるなんて、・・・初めてですものね。・・・離れたくなくなってしまったのよ。・・・」
「・・・」
「真人もそうでしょう?」
「ずっと一緒にいたい気持ちは同じだよ」
真人はそう言って、春子の頬へ口を押し当てた。
「我がままばかり言ってごめんね」
「いいんだよ、これからも、ずっと身近にいて、一緒に仕事が出来るようになるのだから、良いことがずっと続くように、仲良くして行こうよ」
春子が会社を立ち上げると、真人の関わりが多くなる。
「これまでより沢山、こうして抱いてくれる」
春子のからだは、この数日間で、真人の濃厚な行為なしではいられなくなってしまった。
「うん、気持ちの良い時間を沢山作るようにするよ」
真人にとって、春子は大切な人だから、望みを叶えられるように頑張ることを決めている。
「本当ね、・・・うれしいわ」
春子の気持ちは、少し落ち着きを取り戻しつつある。
2009年12月19日
2009年12月18日
352.旅の終わりの夜
真人は、西方宅を辞して外に出ると、春子へ電話を入れた。
春子は、ホテルへ戻っているので、こちらへ帰るようにと言った。
春子とは旅の最後の夜であるから、出来るだけ長い時間一緒に過ごしたい。
春子にしても同じ気持ちなのだ。
ホテルの部屋へ入ると、春子が抱きついてきてキスをした。
「母娘水入らずの話が、十分できたかい?」
「そうね、母はイタリアの水が合っているから、ルンルン気分なのよ」
食事をしながら、久々に親子の会話ができた喜びが伝わってくる。
「香識さんと一緒に、好きな仕事が出来るので、生き甲斐を感じているのだろうな」
長年付き合ってきた親友同士で、日々過ごせる幸せを噛み締めているだろうと、真人は感じている。
「日本へ帰りたくなることは、全くないみたいよ」
「EU圏内を回るにも、ミラノの立地は良いし、旅をしながら、新たな発見が出来る楽しみもあるのだろうな」
「まさにその通りよ。TGVの高速列車に乗れば、数時間で行きたいところへいけるから、その楽しみが大きいようね」
春子は、話をしながら真人に、入浴を促した。
真人が風呂から上がると、春子は既にベッドへ入って待っている。
抱き合うと、春子のからだも湯上りのように熱い。
唇を合わせ、舌を絡めると、それだけで春子のからだが揺れ出した。
春子は、ホテルへ戻っているので、こちらへ帰るようにと言った。
春子とは旅の最後の夜であるから、出来るだけ長い時間一緒に過ごしたい。
春子にしても同じ気持ちなのだ。
ホテルの部屋へ入ると、春子が抱きついてきてキスをした。
「母娘水入らずの話が、十分できたかい?」
「そうね、母はイタリアの水が合っているから、ルンルン気分なのよ」
食事をしながら、久々に親子の会話ができた喜びが伝わってくる。
「香識さんと一緒に、好きな仕事が出来るので、生き甲斐を感じているのだろうな」
長年付き合ってきた親友同士で、日々過ごせる幸せを噛み締めているだろうと、真人は感じている。
「日本へ帰りたくなることは、全くないみたいよ」
「EU圏内を回るにも、ミラノの立地は良いし、旅をしながら、新たな発見が出来る楽しみもあるのだろうな」
「まさにその通りよ。TGVの高速列車に乗れば、数時間で行きたいところへいけるから、その楽しみが大きいようね」
春子は、話をしながら真人に、入浴を促した。
真人が風呂から上がると、春子は既にベッドへ入って待っている。
抱き合うと、春子のからだも湯上りのように熱い。
唇を合わせ、舌を絡めると、それだけで春子のからだが揺れ出した。
2009年12月17日
351.仲間の紹介を得る
西方夫妻が真人に対して、先輩ぶった態度を示すことなく、平等の立場で意見交換をしてくれることに、真人は好感を抱いた。
真人は学生であっても、起業し社会人として活躍していることが、夫妻の意識の中にあるのだろう。
食事が済むと直ぐに、淑子夫人がPCを持ってきて、自分のサイトの説明をしてくれた。
実に良く出来ている。
淑子夫人は、これを元に、ミキ・ミュージアムのような形で、真人の会社のサイトで紹介して欲しいと言った。
真人は、淑子夫人の申し出を快諾し、早速取り掛かる約束をした。
真人は、欧州での活動状況を西方に話し、今後の協力をお願いした。
話し終わると、淑子夫人がメモを真人に渡しながら言った。
「東京へ戻られたら、この人に会ってください」
と、友人の一人を紹介された。
「彼女は、東京での仲間の中心的な存在だから、佐伯さんとお話しするなかで、必要に応じて仲間と連絡を取り合う流れになっていくと思います。彼女は、佐伯さんの会社のサイトに大きな関心を持っていますから、是非会ってみてください」
「ありがとうございます。お会いして、お話しできるのを楽しみにしています」
真人は、サイトの内容に幅を持たせ、拡張していく上で、多くの人と交流を深めて行きたいと考えているので、淑子夫人からの紹介は、ありがたいのだ。
真人は学生であっても、起業し社会人として活躍していることが、夫妻の意識の中にあるのだろう。
食事が済むと直ぐに、淑子夫人がPCを持ってきて、自分のサイトの説明をしてくれた。
実に良く出来ている。
淑子夫人は、これを元に、ミキ・ミュージアムのような形で、真人の会社のサイトで紹介して欲しいと言った。
真人は、淑子夫人の申し出を快諾し、早速取り掛かる約束をした。
真人は、欧州での活動状況を西方に話し、今後の協力をお願いした。
話し終わると、淑子夫人がメモを真人に渡しながら言った。
「東京へ戻られたら、この人に会ってください」
と、友人の一人を紹介された。
「彼女は、東京での仲間の中心的な存在だから、佐伯さんとお話しするなかで、必要に応じて仲間と連絡を取り合う流れになっていくと思います。彼女は、佐伯さんの会社のサイトに大きな関心を持っていますから、是非会ってみてください」
「ありがとうございます。お会いして、お話しできるのを楽しみにしています」
真人は、サイトの内容に幅を持たせ、拡張していく上で、多くの人と交流を深めて行きたいと考えているので、淑子夫人からの紹介は、ありがたいのだ。
2009年12月16日
350.学生時代に思いを馳せる
大学を卒業して16年、西方夫妻はその後の大学の現状を知りたいと言った。
「教授の意識は、以前より大分違ってきているように感じます」
真人は、講義内容からそう感じていることを話した。
「どのような点で、そのように感じられるのですか。以前の状況は分からない筈ですが」
西方は、真人に疑問を投げかけてきた。
「経済人との交流を、積極的に行っている教授陣の動向から、そう判断しているのです」
経済理論を話す中で、実例を具体的にあげるケースが多くなってきている。
そのことを、真人は付け加えた。
「なるほど、以前から経済界で活躍したりして、熱心な教授もいたことはいましたが、それが総体的に増えてきたと言うことですね」
西方の言葉に、淑子夫人も頷いている。
「理論と実務との乖離を少なくして、社会の現状を深く理解させる必要性を、より強く感じるようになってきているのではないでしょうか」
教授陣の意識改革が進んでいるのだ。
「そうすると、学生の意識も変わってきたのでしょうね」
「目的意識が強くなっています」
真人は、学生の行動や雰囲気から、それが感じられると話した。
「厳しい社会の現状認識が高まっているのでしょう」
そう言って、西方はサブプライム問題に端を発し、経済の低迷が続く中で、社会人になるには、甘い考えではやっていけないと、認識する学生が増えてきたのだろうと言った。
「学校の勉強以外に、何か資格を取るとか、社会的な体験をするとか、向上心が高まっているような印象です」
そうした学生のなかでも、国家公務員を目指す人が増えているのは、安定志向の表れではないかと、真人の感想を述べた。
「学生時代から、そのような真剣さが必要な社会になってきたのね。その点、わたしたちの頃より、厳しい世の中になってきたということなのかしら」
淑子夫人が、そう言った。
「そうですね。それでも、既に将来への路線が敷かれている人たちは、結構気楽な学校生活を送っています」
就職活動をしないで済む、恵まれた少数の学生がいることも事実である。
「ああ、そういう学生は、以前もいましたよ。特に地方から来ている人で、二代目三代目の跡継ぎをする人たちは、気楽な学生生活をエンジョイしていましたから」
西方は、学生時代に思いを馳せる雰囲気になってきた。
「教授の意識は、以前より大分違ってきているように感じます」
真人は、講義内容からそう感じていることを話した。
「どのような点で、そのように感じられるのですか。以前の状況は分からない筈ですが」
西方は、真人に疑問を投げかけてきた。
「経済人との交流を、積極的に行っている教授陣の動向から、そう判断しているのです」
経済理論を話す中で、実例を具体的にあげるケースが多くなってきている。
そのことを、真人は付け加えた。
「なるほど、以前から経済界で活躍したりして、熱心な教授もいたことはいましたが、それが総体的に増えてきたと言うことですね」
西方の言葉に、淑子夫人も頷いている。
「理論と実務との乖離を少なくして、社会の現状を深く理解させる必要性を、より強く感じるようになってきているのではないでしょうか」
教授陣の意識改革が進んでいるのだ。
「そうすると、学生の意識も変わってきたのでしょうね」
「目的意識が強くなっています」
真人は、学生の行動や雰囲気から、それが感じられると話した。
「厳しい社会の現状認識が高まっているのでしょう」
そう言って、西方はサブプライム問題に端を発し、経済の低迷が続く中で、社会人になるには、甘い考えではやっていけないと、認識する学生が増えてきたのだろうと言った。
「学校の勉強以外に、何か資格を取るとか、社会的な体験をするとか、向上心が高まっているような印象です」
そうした学生のなかでも、国家公務員を目指す人が増えているのは、安定志向の表れではないかと、真人の感想を述べた。
「学生時代から、そのような真剣さが必要な社会になってきたのね。その点、わたしたちの頃より、厳しい世の中になってきたということなのかしら」
淑子夫人が、そう言った。
「そうですね。それでも、既に将来への路線が敷かれている人たちは、結構気楽な学校生活を送っています」
就職活動をしないで済む、恵まれた少数の学生がいることも事実である。
「ああ、そういう学生は、以前もいましたよ。特に地方から来ている人で、二代目三代目の跡継ぎをする人たちは、気楽な学生生活をエンジョイしていましたから」
西方は、学生時代に思いを馳せる雰囲気になってきた。
2009年12月15日
349.微妙な意見のずれ
西方夫妻の海外勤務は、フランスを皮切りに既に6年を経過していると、真人に話した。
夫妻が共に、フランス語が堪能であることから、本社海外事業部からの転勤が決ったのだ。
そして、次の勤務地はフランス語系の国へ行くのかと思っていたら、イタリア勤務になったらしい。
西方は、学生時代イタリア語を学んでいて、話せるからだと言う。
「本当は、フランス語圏が希望だったのですが、不本意な転勤命令でした。それでも、お蔭でイタリア語が上達して、今ではむしろ喜んでいます」
そう言って西方は、満足気な表情になった。
「アフリカへ転勤するよりは良かったからよ」
淑子はそう言って笑わせた。
「そう言えば、アフリカでもフランス語が公用語になっている国がありますね」
真人もそう言って、淑子の冗談に乗っかった。
「次は、スイスかカナダ、ってところかなあ」
西方は、行く先を占うように言った。
「でも、スイスはワンランク下になるのじゃないの?」
淑子は、西方の待遇が下がるのではないかと思ったのだ。
「でも、そんなことはないか」
淑子は、言い過ぎたと思ったのであろう、前言を打ち消すように言った。
スイスには、美樹が責任者でいる。
社員数から推測すると、確かに小規模な支店であるから、格は下なのかもしれないと、真人は思った。
「規模は小さな支店だけど、勤務したい国だよ」
西方は、スイスという国に魅力を感じているのだ。
「サラリーマンは、行き先で一喜一憂するのですね」
真人はそう言って、二人の顔を窺がった。
「そういうところはあります。でも、行く先々で、全力を出し切ることが大切だと考えていますから、拘りはありません」
西方は、イタリアは不本意な転勤先だったと言ったけど、行き先はどこであろうと転勤による憂いは、特にないのだ。
「そうよ、初めての地でさまざまな体験ができることは、ありがたいのよ」
淑子は、スイスの格が下だと言った言葉を、もう一度翻すように言った。
どうやら、(二人の言い分は、真人の手前、繕っているようだ。)
真人には、そう思えてならない。
(夫婦間の正直な感想は、少し違うのではないか)
と、真人は思った。
夫妻が共に、フランス語が堪能であることから、本社海外事業部からの転勤が決ったのだ。
そして、次の勤務地はフランス語系の国へ行くのかと思っていたら、イタリア勤務になったらしい。
西方は、学生時代イタリア語を学んでいて、話せるからだと言う。
「本当は、フランス語圏が希望だったのですが、不本意な転勤命令でした。それでも、お蔭でイタリア語が上達して、今ではむしろ喜んでいます」
そう言って西方は、満足気な表情になった。
「アフリカへ転勤するよりは良かったからよ」
淑子はそう言って笑わせた。
「そう言えば、アフリカでもフランス語が公用語になっている国がありますね」
真人もそう言って、淑子の冗談に乗っかった。
「次は、スイスかカナダ、ってところかなあ」
西方は、行く先を占うように言った。
「でも、スイスはワンランク下になるのじゃないの?」
淑子は、西方の待遇が下がるのではないかと思ったのだ。
「でも、そんなことはないか」
淑子は、言い過ぎたと思ったのであろう、前言を打ち消すように言った。
スイスには、美樹が責任者でいる。
社員数から推測すると、確かに小規模な支店であるから、格は下なのかもしれないと、真人は思った。
「規模は小さな支店だけど、勤務したい国だよ」
西方は、スイスという国に魅力を感じているのだ。
「サラリーマンは、行き先で一喜一憂するのですね」
真人はそう言って、二人の顔を窺がった。
「そういうところはあります。でも、行く先々で、全力を出し切ることが大切だと考えていますから、拘りはありません」
西方は、イタリアは不本意な転勤先だったと言ったけど、行き先はどこであろうと転勤による憂いは、特にないのだ。
「そうよ、初めての地でさまざまな体験ができることは、ありがたいのよ」
淑子は、スイスの格が下だと言った言葉を、もう一度翻すように言った。
どうやら、(二人の言い分は、真人の手前、繕っているようだ。)
真人には、そう思えてならない。
(夫婦間の正直な感想は、少し違うのではないか)
と、真人は思った。
2009年12月14日
348.友人を気遣う
淑子夫人は、欧州での生活を、将来にわたって続けたいと言いながら、国内の友人との絆を大切にしている。
「東京の友達ともよく連絡しあって、協力して通販を行っているのよ」
緊密に連絡し合う大学時代の友人が多いのだ。
その友人との絆は、フランス語クラブで共に培ったチャレンジ精神から、強く影響しあったものであり、それを他校へと人脈を広げていったのである。
西方もその仲間の一人であり、お互いの考え方や意見が噛み合った結果、結ばれたのである。
「わたしの友人で、未婚者が何人かいるの。生涯独身を通す人もいるし、婚活中の人もいて、みな夫々頑張っているのよ。そして、佐伯さんのサイトに関心を持っているわ」
30代後半の年令に達している西方夫妻と同年令の友人たちは、結婚観が以前と大分違うようだ。
「それは、事業を進める上で大きな励みになりますね。うれしいです」
会社のサイトに関心を持った人が、大勢いることは遣り甲斐につながる。
「佐伯さんのサイトで、国際的な出会いのコーナーを設けてもらえるといいな、と言う人もいるけど、それは現実的ではないわね」
どうやら、淑子夫人は、未婚の友人の婚活に首を突っ込んでいるらしい。
「おっしゃるとおり、そこまで踏み込むには、多くの障害が横たわっています。学生の間で積極的に活用されている、国際的なメール交換を通して、交流の場を持つことが大切なのですが、お友達は学生時代からのつながりはないのでしょうか。そこから交際の輪が広がるでしょうから」
「そうね、わたしたちも学生時代は海外の学生と随分メール交換をしました。それが現在とても役に立っています。婚活中の友人たちは、大事な時期を他のことに、時間を費やし過ぎたきらいがあるわ」
淑子は、経験を上手く活用して、充実した生活を送っているのだ。
「国際結婚は、最初からそれを望むのではなく、さまざまな出会いの中で、自然と結ばれていくことの方がぞましいでしょう」
西方はそう意見を述べた。
「お互いが育ってきた国の、伝統や文化の違いを、十分に理解しあえることが大切ですから、思いだけで突き進むと、長続きしないことがあるかもしれませんね」
真人はそう言って、自分の考えを述べた。
「相手の立場や考え方をよく理解して、思いやる気持ちを、お互いに持てるかが、大事なポイントになるでしょう」
西方は真人の意見に応えた。
「世界はボーダレスの時代ですから、国際結婚をする人が増えているでしょうけど、単なる憧れだけを抱きつつけないことが大事ですね。それなりに自分に磨きをかけて、冷静に考えるゆとりを持つことでしょうか」
真人の考えも、西方に近い。
「恋は盲目になると、よく言われることですが、夢中になると、視野が狭くなることはありますから、異性間の問題は奥が深く、短時間では語りつくせませんね」
西方の意見で、どうやらこの話題は、終わりをむかえた。
「東京の友達ともよく連絡しあって、協力して通販を行っているのよ」
緊密に連絡し合う大学時代の友人が多いのだ。
その友人との絆は、フランス語クラブで共に培ったチャレンジ精神から、強く影響しあったものであり、それを他校へと人脈を広げていったのである。
西方もその仲間の一人であり、お互いの考え方や意見が噛み合った結果、結ばれたのである。
「わたしの友人で、未婚者が何人かいるの。生涯独身を通す人もいるし、婚活中の人もいて、みな夫々頑張っているのよ。そして、佐伯さんのサイトに関心を持っているわ」
30代後半の年令に達している西方夫妻と同年令の友人たちは、結婚観が以前と大分違うようだ。
「それは、事業を進める上で大きな励みになりますね。うれしいです」
会社のサイトに関心を持った人が、大勢いることは遣り甲斐につながる。
「佐伯さんのサイトで、国際的な出会いのコーナーを設けてもらえるといいな、と言う人もいるけど、それは現実的ではないわね」
どうやら、淑子夫人は、未婚の友人の婚活に首を突っ込んでいるらしい。
「おっしゃるとおり、そこまで踏み込むには、多くの障害が横たわっています。学生の間で積極的に活用されている、国際的なメール交換を通して、交流の場を持つことが大切なのですが、お友達は学生時代からのつながりはないのでしょうか。そこから交際の輪が広がるでしょうから」
「そうね、わたしたちも学生時代は海外の学生と随分メール交換をしました。それが現在とても役に立っています。婚活中の友人たちは、大事な時期を他のことに、時間を費やし過ぎたきらいがあるわ」
淑子は、経験を上手く活用して、充実した生活を送っているのだ。
「国際結婚は、最初からそれを望むのではなく、さまざまな出会いの中で、自然と結ばれていくことの方がぞましいでしょう」
西方はそう意見を述べた。
「お互いが育ってきた国の、伝統や文化の違いを、十分に理解しあえることが大切ですから、思いだけで突き進むと、長続きしないことがあるかもしれませんね」
真人はそう言って、自分の考えを述べた。
「相手の立場や考え方をよく理解して、思いやる気持ちを、お互いに持てるかが、大事なポイントになるでしょう」
西方は真人の意見に応えた。
「世界はボーダレスの時代ですから、国際結婚をする人が増えているでしょうけど、単なる憧れだけを抱きつつけないことが大事ですね。それなりに自分に磨きをかけて、冷静に考えるゆとりを持つことでしょうか」
真人の考えも、西方に近い。
「恋は盲目になると、よく言われることですが、夢中になると、視野が狭くなることはありますから、異性間の問題は奥が深く、短時間では語りつくせませんね」
西方の意見で、どうやらこの話題は、終わりをむかえた。
2009年12月13日
347.招かれた理由
西方の住まいは、最寄駅から徒歩5分のところにある、瀟洒なマンションの3階である。
真人は、西方夫人淑子のにこやかな笑顔に迎えられた。
玄関を入ると、いい匂いが漂っている。
まさしく夫人が心を込めて調理した料理の香だ。
リビングで寛いでいると、西方が着替えをしてきて、
「どうぞこちらへ」
と招かれ、ダイニングのテーブルに着いた。
ワインで乾杯すると、淑子が口火を切るように、真人にイタリアの印象を尋ねてきた。
「ローマは、如何でしたか」
「仕事の他に、1日観光で主なところを観て歩きましたが、見所が沢山あって、とても1日では回りきれませんでした。それでも、歴史のある古代ローマの姿に接することが出来て、その素晴らしい遺跡や建造物に、感動の連続でした」
「佐伯さんは、お仕事の関係上、わたしたちとは、見る視点も違うでしょうね」
「そうかもしれません。観光スポットをどのように紹介するか、どうしてもカメラ設置の場所を考えてしまいますね」
「サイトをいつも拝見していますけど、列車や船から観る景観が素晴らしいですね」
「空からの映像など、動画が主体でスタートさせたサイトなのですが、好きな音楽を聴きながら見られるところが受けています」
「それにしても、大事業ですね」
「西方さんの会社のバックアップが大きな要ですから、積極的に活動していただいていることに、いつも感謝しています」
「佐伯さんほかの皆さんが、世界中を回るとなると、大変ですね」
「そうですね、・・・」
そこで、真人は会社の実情や活動内容をかいつまんで話した。
「そうですか、佐伯さんが欧州担当であれば、これからもお会いできる機会はありそうですね」
「何か、わたしたちの会社のサイトで紹介するものがあれば、おっしゃってください」
そう説明すると、淑子は、造花とパッチワークのHPを紹介して欲しいと言った。
「ミキ・ミュージアムを拝見して、出来ればわたしの趣味のサイトも同じような形で紹介していただきたいと思ったのです」
これが、真人を家に招いた、淑子の目的であり、希望だったのだ。
「はい、大歓迎です。是非作らせてください」
「ありがとうございます」
淑子は、この話をしたかったのであろう、漸く話しが出来た喜びを満面の笑みに表した。
「良かったな」
西方も、喜んでいる。
「こう言うのを、バーチャル・リアリティと言うのかしら、訪れてくれる人が沢山出てくると、やりがいが出るわ」
「家内は、家で仲間を集めて、教室を開いているんです」
西方がそう説明した。
「わたしたちに子どもがいないから、自分の時間を最大限活かしたかったの。そして、趣味を趣味で終わらせたくなかったの。それで、次第に欲が出てきたのね」
「造花は結構人気があるんですよ」
西方が補足した。
「オーダーメイドのブーケもリーズナブルだし、ドレスにマッチングしたブーケ作りも好評なのよ」
淑子は、通販もやっていることを真人に話した。
「ウエディングフラワーに、こだわりたい花嫁には、最適なものをつくるよう努めているのよ」
「それは素晴らしいことです」
真人は、淑子のサイトを拝見したいと言った。
「あとで、ご覧に入れるわ」
淑子はうれしそうに、目を輝かせた。
真人は、西方夫人淑子のにこやかな笑顔に迎えられた。
玄関を入ると、いい匂いが漂っている。
まさしく夫人が心を込めて調理した料理の香だ。
リビングで寛いでいると、西方が着替えをしてきて、
「どうぞこちらへ」
と招かれ、ダイニングのテーブルに着いた。
ワインで乾杯すると、淑子が口火を切るように、真人にイタリアの印象を尋ねてきた。
「ローマは、如何でしたか」
「仕事の他に、1日観光で主なところを観て歩きましたが、見所が沢山あって、とても1日では回りきれませんでした。それでも、歴史のある古代ローマの姿に接することが出来て、その素晴らしい遺跡や建造物に、感動の連続でした」
「佐伯さんは、お仕事の関係上、わたしたちとは、見る視点も違うでしょうね」
「そうかもしれません。観光スポットをどのように紹介するか、どうしてもカメラ設置の場所を考えてしまいますね」
「サイトをいつも拝見していますけど、列車や船から観る景観が素晴らしいですね」
「空からの映像など、動画が主体でスタートさせたサイトなのですが、好きな音楽を聴きながら見られるところが受けています」
「それにしても、大事業ですね」
「西方さんの会社のバックアップが大きな要ですから、積極的に活動していただいていることに、いつも感謝しています」
「佐伯さんほかの皆さんが、世界中を回るとなると、大変ですね」
「そうですね、・・・」
そこで、真人は会社の実情や活動内容をかいつまんで話した。
「そうですか、佐伯さんが欧州担当であれば、これからもお会いできる機会はありそうですね」
「何か、わたしたちの会社のサイトで紹介するものがあれば、おっしゃってください」
そう説明すると、淑子は、造花とパッチワークのHPを紹介して欲しいと言った。
「ミキ・ミュージアムを拝見して、出来ればわたしの趣味のサイトも同じような形で紹介していただきたいと思ったのです」
これが、真人を家に招いた、淑子の目的であり、希望だったのだ。
「はい、大歓迎です。是非作らせてください」
「ありがとうございます」
淑子は、この話をしたかったのであろう、漸く話しが出来た喜びを満面の笑みに表した。
「良かったな」
西方も、喜んでいる。
「こう言うのを、バーチャル・リアリティと言うのかしら、訪れてくれる人が沢山出てくると、やりがいが出るわ」
「家内は、家で仲間を集めて、教室を開いているんです」
西方がそう説明した。
「わたしたちに子どもがいないから、自分の時間を最大限活かしたかったの。そして、趣味を趣味で終わらせたくなかったの。それで、次第に欲が出てきたのね」
「造花は結構人気があるんですよ」
西方が補足した。
「オーダーメイドのブーケもリーズナブルだし、ドレスにマッチングしたブーケ作りも好評なのよ」
淑子は、通販もやっていることを真人に話した。
「ウエディングフラワーに、こだわりたい花嫁には、最適なものをつくるよう努めているのよ」
「それは素晴らしいことです」
真人は、淑子のサイトを拝見したいと言った。
「あとで、ご覧に入れるわ」
淑子はうれしそうに、目を輝かせた。
2009年12月12日
346.通勤談義
真人は、翌日の予定を決めてから「KAORI」の店を出て、K社の西片と会うため再度会社を訪問した。
「お忙しいところを申し訳ありません」
真人は、西方に招かれた礼を言いながら、そう挨拶した。
「こういうときでないと、なかなか早く帰れないので、佐伯さんの来訪を利用させていただいて、今日は早帰りできますから、気にしないで下さい。大歓迎なのですよ」
「そうですか、それならいいのですが」
「家内へ連絡して、料理の腕を振るってもらっていますから、楽しみにしてください」
「ありがとうございます」
「家内は、佐伯さんの会社のサイトの大フアンなのです」
「うれしいですね。お話し出来るのを楽しみにしています」
「実は、今日の招待は家内の希望でもあるのです」
「では、前以て決めておられたのですか」
「そうなんです。色々聞きたいことがあるようです」
そんな会話をしながら、西方は帰宅の準備をしに部屋へ戻ると、直ぐに出てきた。
二人は会社を後にした。
「地下鉄で行きます」
「イタリアの地下鉄に乗るのは初めてです」
「ローマでは乗りませんでしたか?」
「トラムで移動していました」
駅に着くと、西方は切符の買い方を教えてくれた。
「このM2線は、地下鉄と言っても、ウーディネまでの市街地の区間は地下ですが、途中から地上を走っているのです」
「東京の地下鉄でも、そういう路線は幾つかありますね」
「そうですね。わたしの実家のある本郷へ行く時の丸の内線は、後楽園辺りで地上を走っていますから、同じですね」
「この路線は、歴史を感じさせる印象を受けますが、かなり前に作られたのでしょうか」
「40年前に開通した路線です。ミラノでは2番目に古い地下鉄です」
「通勤時間帯は、かなり込むのでしょうね」
「東京の地下鉄のような混雑はありません」
「世界でも、東京のラッシュは特別でしょうね」
「異常ですからね。その点ここでの通勤は楽ですよ」
「もう国内勤務はしたくないでしょうね」
「海外勤務に慣れると、もう帰りたくなくなりますね。家内も国内より海外がいいと言って、定年までEU圏内にとどまるようにして欲しいと言っています」
そう言って、西方は笑った。
いつの間にか電車は、中心街を抜け、地上を走っている。
「次の駅で降ります」
西方が、そう言った。
「近いですね」
あまりの近さに、真人は驚いた。
「東京じゃあ、考えられない近場でしょう」
「この距離なら、通勤に便利ですね」
「遅くなっても、苦になりませんよ」
そう言いながら到着した駅で下車した。
「お忙しいところを申し訳ありません」
真人は、西方に招かれた礼を言いながら、そう挨拶した。
「こういうときでないと、なかなか早く帰れないので、佐伯さんの来訪を利用させていただいて、今日は早帰りできますから、気にしないで下さい。大歓迎なのですよ」
「そうですか、それならいいのですが」
「家内へ連絡して、料理の腕を振るってもらっていますから、楽しみにしてください」
「ありがとうございます」
「家内は、佐伯さんの会社のサイトの大フアンなのです」
「うれしいですね。お話し出来るのを楽しみにしています」
「実は、今日の招待は家内の希望でもあるのです」
「では、前以て決めておられたのですか」
「そうなんです。色々聞きたいことがあるようです」
そんな会話をしながら、西方は帰宅の準備をしに部屋へ戻ると、直ぐに出てきた。
二人は会社を後にした。
「地下鉄で行きます」
「イタリアの地下鉄に乗るのは初めてです」
「ローマでは乗りませんでしたか?」
「トラムで移動していました」
駅に着くと、西方は切符の買い方を教えてくれた。
「このM2線は、地下鉄と言っても、ウーディネまでの市街地の区間は地下ですが、途中から地上を走っているのです」
「東京の地下鉄でも、そういう路線は幾つかありますね」
「そうですね。わたしの実家のある本郷へ行く時の丸の内線は、後楽園辺りで地上を走っていますから、同じですね」
「この路線は、歴史を感じさせる印象を受けますが、かなり前に作られたのでしょうか」
「40年前に開通した路線です。ミラノでは2番目に古い地下鉄です」
「通勤時間帯は、かなり込むのでしょうね」
「東京の地下鉄のような混雑はありません」
「世界でも、東京のラッシュは特別でしょうね」
「異常ですからね。その点ここでの通勤は楽ですよ」
「もう国内勤務はしたくないでしょうね」
「海外勤務に慣れると、もう帰りたくなくなりますね。家内も国内より海外がいいと言って、定年までEU圏内にとどまるようにして欲しいと言っています」
そう言って、西方は笑った。
いつの間にか電車は、中心街を抜け、地上を走っている。
「次の駅で降ります」
西方が、そう言った。
「近いですね」
あまりの近さに、真人は驚いた。
「東京じゃあ、考えられない近場でしょう」
「この距離なら、通勤に便利ですね」
「遅くなっても、苦になりませんよ」
そう言いながら到着した駅で下車した。
2009年12月11日
345.美と健康に関心
春子を部屋の外に誘い出し、今晩K社の西方から自宅へ招かれたことを告げた。
「あら、母と3人で食事をしようと思っていたのよ。母が残念がるわ」
「申し訳ない」
「いいのよ。お仕事が最優先だから、気にしないでね」
「終わったら、メールする」
「待ってるわ」
それから、香識と秋子、ジョアンナからデザインの話を聞きながら、店の経営の現状や将来に対する意見交換を行った。
おやつに、マロン・グラッセが用意されていた。
「甘いものはお口に合うかしら」
香識がそう言いながらコーヒーを入れてくれた。
「わたしは、甘辛両刀ですから、こうした甘いものもよく食べます」
真人は、洋菓子や和菓子などは好んで口にする。
「そうよね、結構甘いものが好きよね」
春子が、そう説明した。
「よかったわ、喜んでいただいて」
香識はそう言いながら、
「わたしたちは、3人で毎日このようなお菓子を食べてばかりいるのよ。だから、ご覧の通り3人とも太目でしょう?」
「そんなことはありません。女性はふくよかな方が魅力的です」
事実、真人はふくよかな女性が好きだ。
「そうかしら。じゃあ真人好みの3人組と言うところかしら」
香識はそう言って笑わせた。
すると春子が、
「わたしだって、フィットネスクラブでインストラクターをしていなかったら、母と同じような体型になっていたかもしれないわ」
と言った。
「わたしたちも、春子ほどではないにしても、適度な運動をしないといけないわね」
秋子は、日頃運動不足であることを反省した。
「毎朝、出勤の時に一定の時間、早足で歩くだけでも良い運動になりますよ」
真人は、3人にそのように勧めた。
「そうね、早速やろうかしら。真人も毎日運動をしているのでしょう?」
秋子は、春子から聞いていたのであろう。
「そうですね。殆んど毎日フィットネスクラブへ通っています」
すると秋子は、逞しい真人のからだつきに、見惚れるような眼差しを向けた。
「今度、春子が始める美と健康教室を参考にしたいから、楽しみにしているのよ」
春子の計画は、秋子に詳しく伝えられているのだ。
すると香識も、
「春子の教室は、適度に筋肉をつける運動を取り入れるようだから、その健康方式を参考に、わたしも日常生活に取り入れたいと思っているのよ」
と言った。
美と健康は、女性にとって関心の高い課題なのだ。
「あら、母と3人で食事をしようと思っていたのよ。母が残念がるわ」
「申し訳ない」
「いいのよ。お仕事が最優先だから、気にしないでね」
「終わったら、メールする」
「待ってるわ」
それから、香識と秋子、ジョアンナからデザインの話を聞きながら、店の経営の現状や将来に対する意見交換を行った。
おやつに、マロン・グラッセが用意されていた。
「甘いものはお口に合うかしら」
香識がそう言いながらコーヒーを入れてくれた。
「わたしは、甘辛両刀ですから、こうした甘いものもよく食べます」
真人は、洋菓子や和菓子などは好んで口にする。
「そうよね、結構甘いものが好きよね」
春子が、そう説明した。
「よかったわ、喜んでいただいて」
香識はそう言いながら、
「わたしたちは、3人で毎日このようなお菓子を食べてばかりいるのよ。だから、ご覧の通り3人とも太目でしょう?」
「そんなことはありません。女性はふくよかな方が魅力的です」
事実、真人はふくよかな女性が好きだ。
「そうかしら。じゃあ真人好みの3人組と言うところかしら」
香識はそう言って笑わせた。
すると春子が、
「わたしだって、フィットネスクラブでインストラクターをしていなかったら、母と同じような体型になっていたかもしれないわ」
と言った。
「わたしたちも、春子ほどではないにしても、適度な運動をしないといけないわね」
秋子は、日頃運動不足であることを反省した。
「毎朝、出勤の時に一定の時間、早足で歩くだけでも良い運動になりますよ」
真人は、3人にそのように勧めた。
「そうね、早速やろうかしら。真人も毎日運動をしているのでしょう?」
秋子は、春子から聞いていたのであろう。
「そうですね。殆んど毎日フィットネスクラブへ通っています」
すると秋子は、逞しい真人のからだつきに、見惚れるような眼差しを向けた。
「今度、春子が始める美と健康教室を参考にしたいから、楽しみにしているのよ」
春子の計画は、秋子に詳しく伝えられているのだ。
すると香識も、
「春子の教室は、適度に筋肉をつける運動を取り入れるようだから、その健康方式を参考に、わたしも日常生活に取り入れたいと思っているのよ」
と言った。
美と健康は、女性にとって関心の高い課題なのだ。
2009年12月10日
344.うれしい申し出
香識から意見を求められた真人は、店内のリニューアルに関して、いくつかの考えを出した。
一つは、観光地であるから、商品に関心を持ってもらうために、観光客の目を惹きつける店造りであり、また、デザインの良さに、如何に興味を抱いてもらうかである。
「それには、観光客のみならず、商品開発関係者や生産者を店内の奥まで、如何に引き込むかでしょうね。そうして、デザイナー室や工房に目を向けてもらうことが大事でしょう」
真人は、そう意見を述べた。
「そのために、ガラス張りにしてあるのだけど、・・・」
香識が応えた。
「外から見えるように、デザイナー室のガラスに、デザイナールームであることの表示をしては如何でしょうか」
「それも良い案だわね」
「商品のデザインの売込みが主な仕事でしょうから、先ずは素材を生かしたものづくりが目に付くようにすると良いと思います」
「それには、商品のラインアップを表示するコーナーも必要なのかしら」
「そうですね。あまり場所をとらないようにして、表示方法を工夫する必要があります」
話は尽きず、次から次へと意見交換が行われた。
そして意見が出尽くしたところで、香識から改まった話しが出た。
「秋子と相談して決めたのだけれど、真人に、アドバイザーをお願いしたいの」
香識がそう言って、真人の表情を窺がうような目になった。
「ありがとうございます」
これからもずっと、関係を保って行きたいと考えていたので、真人は香識の申し出を快く引き受けることにした。
「お受けするにあたって、心がけなければならないことをご指示くださると有難いです」
香識と秋子の目指しているものが分かるので、おおよその意向は理解していたが、念のため確認した。
「欧洲各地を回りながら、さまざまな日用品に関心の目を向けていただいて、それらの情報とご意見を寄せていただきたいの」
「わかりました」
真人がやりたかった仕事である。
「そして、毎月定例会に出席していただきたいのよ」
お互いの絆を深めることが出来るので、異論をさしはさむ必要のない申し出である。
「はい、そのようにさせて頂きます。出来れば、土日にかけて来られるようにしたいのですが、如何でしょうか?」
「結構よ、わたしたちもその方がいいと思っているの。ゆっくりお話しが出来るでしょうからね。あなたのご都合に合わせますから、ご希望をおっしゃってくださいね」
春子も付いてくると言い出しそうな雰囲気である。
「各地を訪問するスケジュールを組むときに、こちらへ来る日時を決めたいと思いますので、日程は後日決めると言うことで、宜しいでしょうか」
「異存ないわ。あなたのご都合に合わせて、その都度決めることにしましょうね」
「勝手を言って申し訳ありません」
「そんなことないわ、何事も柔軟に対応しますから、遠慮なく何でもおっしゃってくださいね」
香識も秋子も、ほっとした表情で真人に笑みを返した。
一つは、観光地であるから、商品に関心を持ってもらうために、観光客の目を惹きつける店造りであり、また、デザインの良さに、如何に興味を抱いてもらうかである。
「それには、観光客のみならず、商品開発関係者や生産者を店内の奥まで、如何に引き込むかでしょうね。そうして、デザイナー室や工房に目を向けてもらうことが大事でしょう」
真人は、そう意見を述べた。
「そのために、ガラス張りにしてあるのだけど、・・・」
香識が応えた。
「外から見えるように、デザイナー室のガラスに、デザイナールームであることの表示をしては如何でしょうか」
「それも良い案だわね」
「商品のデザインの売込みが主な仕事でしょうから、先ずは素材を生かしたものづくりが目に付くようにすると良いと思います」
「それには、商品のラインアップを表示するコーナーも必要なのかしら」
「そうですね。あまり場所をとらないようにして、表示方法を工夫する必要があります」
話は尽きず、次から次へと意見交換が行われた。
そして意見が出尽くしたところで、香識から改まった話しが出た。
「秋子と相談して決めたのだけれど、真人に、アドバイザーをお願いしたいの」
香識がそう言って、真人の表情を窺がうような目になった。
「ありがとうございます」
これからもずっと、関係を保って行きたいと考えていたので、真人は香識の申し出を快く引き受けることにした。
「お受けするにあたって、心がけなければならないことをご指示くださると有難いです」
香識と秋子の目指しているものが分かるので、おおよその意向は理解していたが、念のため確認した。
「欧洲各地を回りながら、さまざまな日用品に関心の目を向けていただいて、それらの情報とご意見を寄せていただきたいの」
「わかりました」
真人がやりたかった仕事である。
「そして、毎月定例会に出席していただきたいのよ」
お互いの絆を深めることが出来るので、異論をさしはさむ必要のない申し出である。
「はい、そのようにさせて頂きます。出来れば、土日にかけて来られるようにしたいのですが、如何でしょうか?」
「結構よ、わたしたちもその方がいいと思っているの。ゆっくりお話しが出来るでしょうからね。あなたのご都合に合わせますから、ご希望をおっしゃってくださいね」
春子も付いてくると言い出しそうな雰囲気である。
「各地を訪問するスケジュールを組むときに、こちらへ来る日時を決めたいと思いますので、日程は後日決めると言うことで、宜しいでしょうか」
「異存ないわ。あなたのご都合に合わせて、その都度決めることにしましょうね」
「勝手を言って申し訳ありません」
「そんなことないわ、何事も柔軟に対応しますから、遠慮なく何でもおっしゃってくださいね」
香識も秋子も、ほっとした表情で真人に笑みを返した。

