2009年07月04日

185.別れの涙

スーザンは、真人からのプレゼントに大満足して、胸に抱きながらからだを左右に揺らし喜んだ。
店を出ると、スーザンはすまなさそうな顔付きになって言った。
「わたしからは、マサトに何をあげようかしら」
「もう貰ったからいいよ」
「え?・・・」
「スーザンのからだの中のものを、くれたじゃないか」
「?・・・」
「甘い蜜のことだよ」
「まあ、・・・マサトったら、・・・」
ジョウクで言ったつもりの真人の言葉の意味を知ったスーザンは、珍しく恥じらいの表情になった。
「いいわ、今度サクラメントに来たとき、帰りに何かいいものを買って渡すからね。ね、マサト」
「ありがとう。スーザン。・・・サクラメントでは、お父さんと、お母さんにお会いできるのを楽しみにしているよ。会って、色々話ができたら、それが最高のお土産だよ。スーザン」
「そう言っていただけると、うれしいわ」
両親がいない真人のことに思い当たったのか、スーザンは真人の手を強く握ってきた。

真人とスーザンは、ジュネーブの中央駅である「コルナヴァン駅」からジュネーブ空港行きの電車に乗った。
ジュネーブ空港までは7,8分で着いた。
スーザンが搭乗手続きを済ませ、荷物を預けると、さすがに別れの時が来たことを二人が感じ、抱き合ってキスを交わしていると、寂しさが込み上げてきた。
スーザンの目から涙が出てきた。
スーザンは、真人の胸に顔を埋め泣いている。
真人は、スーザンを強く抱きしめ、顔を引き寄せると唇を合わせた。
スーザンの涙が、頬を伝わって流れている。
真人は、ハンカチを出して、スーザンの涙をそっと拭いた。
「スーザン、いろりろありがとう。スーザンのお蔭で、将来への夢が大きく広がって、希望が湧いてきたよ。スーザンと素晴らしい時間も過ごせたし、何よりもスーザンと出逢えたことが一番うれしいよ。スーザンとは、これから長い付き合いになるから、何でも遠慮なく相談してくれよな。スーザンとは、ずっといい関係を続けたいから、お互いの気持ちを尊重していこうよ」
「マサトのお蔭で、わたしも将来への希望がわいてきたの。真人と逢えて本当に良かった。マサト愛しているわ。愛している、愛している。大好きよ。どんなことがあっても、もう絶対に離さないでね。お願いよ、マサト」
「大好きなスーザンを絶対に離さないよ。心配しなくていいよ。愛しているよ」
二人は、もう一度唇を合わせ、舌を絡めて、吸いあい、お互いの愛情を確かめ合った。

スーザンの涙は止まらなくなった。後から後から涙が溢れ出てくる。
真人は、スーザンのからだを強く抱きしめた。
スーザンのからだが小刻みに震えている。
出発便への搭乗を促すアナウンスが流れた。
「別れるのは辛いけど、スーザン、搭乗時間が過ぎそうだから、急がないと、・・・」
そう言うと、スーザンは漸くからだを離し、搭乗ゲートへ向って歩み出した。
「元気でな、スーザン」
「マサト、楽しみに待っているからね。」
スーザンは、何度も振り返りながら搭乗ゲートを潜り、真人の目から姿が消えた。
真人は、何時までもそこに立ち尽くし、消えていったスーザンの面影を追った。
嬉しいとき、からだを揺らして喜ぶスーザンが、別れに見せた涙は、真人への愛情の深さを表しているのだと感じ、真人は喜ぶと同時に、責任の重さも感じた。
真人は、スーザンへの言葉や行動の数々を反芻し、深く記憶にとどめた。
posted by シーサン at 15:36| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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