昨夜は一睡もせずにスーザンを抱き続けた疲れから、睡魔が真人のからだを襲ったのだ。
電車が止まり、車内の乗客が慌しく動く気配に目覚めると、ベルン駅に到着していた。
スーザンと過ごしたベルンの町の景観が甦ってきた。
(スーザンが搭乗した飛行機は、大西洋上のどの辺りを飛行しているだろうか)
真人は、ふと機内のスーザンのことを思った。
ジュネーブを発つとき涙を流していたスーザンであるが、持ち前の明るさが戻り、帰宅するうれしさを噛み締めているかもしれないと、真人は思った。
スーザンが住むサクラメントを拠点に、アメリカの西海岸一体を動画サイトに取り入れるため、どのように仕事を進めていくか、真人の頭の中は、そのことで動き出している。
この地域全体をカバーするには、スーザン一人の力に頼っていては、スピードを重視する真人たちの経営戦略を推し進めることは難しい。
スーザンの両親に早く会って相談する必要がある。
幸い、アメリカ人には、「未開のフロンティア精神」が息づいている。
真人の会社が進めている動画サイトは、まさに未開分野を切り開くものである。
軌道に乗るまでは、かなりアナログ的な動きになることは否めないが、それでも、新たな分野へ果敢に挑戦し、将来の発展可能性にかける真人達の考え方は、スーザンの両親に理解され、必ず賛同してくれると信じている。
スーザンの家族を通して、人脈を広げる新たな構想で、真人の頭の中は活発に動きだしている。

