2009年10月28日

301.楽しみが膨らんでいく

真人と春子は、夕食を近くのレストランで済ませ、ホテルへ戻ると深夜まで休むことなく濃艶で濃密な時間を過ごした。
翌朝二人は、ローマ中央駅から特急電車に乗り、次の訪問地フィレンツェを目指した。
「フィレンツェも見所が沢山あって、時間がいくらあっても足りないくらいよ」
春子は、フィレンツェにも詳しいのだ。
「そうすると、大所を抑えて見ることになるな」
「そうね、サイトで紹介するポイントを抑えることだわね」
「案内するナレーションの内容は、春子の説明を参考にするから、じゃんじゃんお喋りしてくれないか」
「まあ、うれしい」
「気取らずに、春子の感想も織り込みながら話してくれると有難いな」
「じゃあ、ICレコーダーを預かっておくわね」
真人は、小型のICレコーダーを春子へ渡した。
「内容だけではなくて、わたしの声で吹き込んでも良いわよ」
「そうだな、春子の声は良く通るし、良い声しているからな」
「あら、本当にそう思ってくれているの?」
「本当だよ。初めて会ったときからそう思っていたんだよ」
「そうだったの、うれしいわ」
春子は、真人の手をつかんで、からだを傾けてきた。
真人は、春子のことを褒めたことは何度もあるけど、声を褒めたのは初めてだから、春子はうれしかったのだ。
イタリアを紹介するナレーションは、すべて春子に任せようと思っているんだよ」
「良いわよ、喜んで引き受けるわ。でも、ローマでは録音しなかったわね」
「実は、おれのポケットにレコーダーを入れておいたから、記録されているんだよ」
「そうだったの、知らなかった」
「記録しておけば、春子の声がいつでも聞けるから」
「まあ、真人、うれしいこと言ってくれるわね」
「でも、ベッドに入ったときの声は収めてないから心配無用だよ」
「よかった、もしかしたら、・・」
ふと、春子はそう思った。
「録音しているかと思ったんだろう?」
「そんなことされたら、恥ずかしいからね」
「でも、あのときの声も、良い声しているよ」
「まあ、・・・」
春子は、真人の手をつねった。
「今度、録音しておこうかな」
真人は冗談を言ってみた。
「だめ、だめ、だめよ。そんなことしたら許さないから」
「大丈夫だよ、そんなことしないよ。ナレーションの声が聞けるだけで十分うれしいよ」
「何だか照れくさいわ」
そう言いながらも、春子は喜びを隠せないでいるのが顔の表情でわかる。
春子の声は音量が広く柔らか味があって魅力的なのだ。
「真人に褒められたらら、急に甘えたくなってきちゃった」
「いいよ、今晩また沢山甘えていいよ」
「わあ、うれしい。じゃあ、早くホテルへ行けるように、今日はトラムとバスを有効に利用しましょうね」
「そうだな、効率よく回ろうよ」
春子はうれしくて、横に座っている真人のからだに抱きついてきた。
posted by シーサン at 15:10| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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