2009年11月05日

309車中の会話を楽しむ

真人は列車に乗ると、春子を窓際に座らせた。
すると、春子は、
「真人、窓際に座りなさい。わたしは、何度も来ていて、この路線の景色は見ているけど、真人は初めてだから、観たいでしょう?」
「そうだな、じゃあそうしてもらおうか」
そう言って、席を替わり窓際に座った。
「この列車は、イタリアを南北に走るアベニン山脈を横断して行くのよ」
「そうすると、イタリアは日本と同じような地形なんだ」
「そうね、似ているわね」
「山を越えて行くのかい?」
「アベニントンネルを抜けて行くのよ」
春子は、列車が走り出すと、真人にからだを寄せてきた。
「長いトンネルを過ぎると、すぐにボローニャに到着するの。そこでミラノ行きやヴェネツィア行きに乗り換えるのよ。この列車は直通だから乗り換えなしでヴェローナまで行くけどね」
「そうか、ヴェネツィアへも行ってみたいな」
「でも、今回は時間が取れないのでしょう?」
「そうだな」
「次の機会にしましょう。今度はいつ一緒に行動できる?」
「そうだな、年明けかなあ」
「あら、年内は無理なの?」
「年内の予定はすべて決っているし、授業に出たり、テストもあるからな」
「そうか、・・・それに、考えてみたら、わたしの起業準備にも力を貸してもらわないといけないからね」
そうだよ、春子の会社立ち上げは、真剣に取り組まないといけないからな」
「わたしの家に、入り浸りになる?」
「傍にいたら、直ぐ抱きたくなるから、仕事にならないよ」
「その合間に考えるのよ」
「無理だよ、だって、春子は直ぐに意識が無くなってしまうじゃないか」
「真人が、少し加減してくれれば、・・・」
春子は真人の手を握り、上目遣いになって笑った。
「それでいいのか?・・・」
「ああ、やっぱりだめだわ」
「そうだろう、・・・するときは、徹底してしないとな」
「何事もそうよね。わかったわ」
「急いで、決めることはないよ。春子とは長い付き合いなのだからさ」
「そうよね、一生付き合うんですものね」
「・・・」
「ね?・・・そうでしょう?」
「そうだよ、会社が軌道に乗ったら、仕事抜きで旅行をしようよ」
「そうね、そのためにもお互いに頑張りましょうね」
列車は、アベニン山脈に近付き、目の前に大きな山が迫ってきた。
posted by シーサン at 14:31| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: