列車が、アベニン山脈の長いトンネルを抜けると、大きな街の姿が目に飛び込んできた。
赤茶色の屋根が連なる街は、歴史を感じさせる雰囲気が漂っている。
「ボローニャ中央駅に着いたわね、ボローニャはイタリア国内ではとても重要な鉄道・自動車のハブ駅なのよ。空港もあるしね」
春子の声に、どことなくこの街を懐かしむ響きがある。
「何だか、降りて、寄り道したい雰囲気を感じるな」
真人は、春子の声につられて、降りてみたい気持ちに誘われた。
乗降客が多く、さすがにハブ駅らしいさが感じられる。
「わたしは、一度だけボローニャの街を歩いたことがあるのよ」
それが、春子の声に出ていたのだ。
「ひとりで、かい?」
「香識さんの案内で、母と3人で行ったの」
「どんな街なんだ」
「ボローニャは、美食の都と言った感じね」
「女性同士だと、食べ歩きをしたんだな?」
「そうなの。スパゲティのソースとして有名なボロニェーゼは、肉をベースとしたパスタ・ソースで、これが実にいい味なのよ」
「急に腹が空いてきたよ」
「あまり食べ物の話しをすると、真人は涎をたらしそうになるから、止めとくわ」
二人は、顔を見合わせて笑った。
「他の特徴は?」
「ボローニャ大学は、ヨーロッパ最古の大学なのよ。学生数は10万人くらい在籍しているそうよ」
「マンモス大学だな」
「ボローニャの人口が40万人くらいだから、確かに多いわね」
「大聖堂もあるんだろう?」
「大聖堂や教会が数多く見られるわね」
「この辺りは、第二次世界大戦の戦火を受けなかったのだろうな」
「幸い、伝統文化遺産は戦火を免れたみたいよ」
「列車から見ただけだけど、古い街の様子から、それが見て取れるものな」
「真人の会社のサイトに取り入れるべき街よ」
「そうか、やはり一度見ておきたいな。でも、当分その時間が取れないな」
欧州全域をくまなく見て回ることは出来ないから、真人が行けない所は、K社に依存するしかない。
だから真人は、明日以降訪問するK社と、訪問できない街に関して、詰めた話をしなければいけないと思った。
2009年11月06日
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