2009年11月07日

311.イタリアの現状を考える

列車がボローニャを過ぎると、辺りは田園地帯に入った。
アルプスの雪解け水が、ポー川やその支流を潤して、この辺りの平原を豊かにしているのだろうな」
車窓を流れる緑豊かな畑の景色を見ながら、真人は呟いた。
「この地域は、イタリアの農産物の大半をまかなっている感じね」
「この地域に住む人たちは、食生活も豊かなのだろうな」
「季節には四季の変化があって、情緒があるのでしょうね。人柄も穏やかのようよ」
「詳しいじゃないか」
「香識さんから聞いた話しよ」
「香識さんに早く会ってみたいな」
どんな女性なのか、真人の関心が高まってきた。
「イタリアで長く生活しているから、詳しいわよ」
「楽しみだな。南北の違いも知りたいし」
それを知ることは、仕事を進める上でも大事なことだ。
「南イタリアは、トスカーナを除くボローニャ以南を指すみたいよ」
「イタリアという国は確かに南と北とでは、経済的富裕度や気質の面で、別の国であるといってもいいらしいからな」
「そうね、かなり違いがあるわね」
「風土が違うと、食生活や生活慣習にも違いが生じてくるだろうな」
「南イタリアの大地は、日差しが強すぎて乾燥しているから、農産物をはぐくむには厳しいらしいわ」
「アベニン山脈からの水資源が豊富だと思っていたけど、問題は土壌だな」
「南の農業は、オリーブを除いて恒常的な不作みたいよ」
「北と比べて劣っているわけだ」
「でも、イタリアの食料自給率は62%よ」
「日本よりはるかに高いな」 
カナダ、アメリカ、フランスは、100%超えているわね」
「日本の農業政策は、どうなっているんだ。イタリアより劣るということは、努力不足だな」
いつの間にか、食料問題に話題が脱線している。
明るい太陽の下に住む南イタリアの人たちは、陽気で調子が良く、パフォーマンス豊かなのね」
春子が話題を変えてきた。
「でも、・・・」
真人は、ここではっと気付いて、声を落とした。
二人の言葉はここでは通じないはずだけど、イタリア人が聞き耳を立てているといけないと思ったからだ。
「・・・彼らは時として、いい加減で信用できないと見られているよな。以前新聞で報道されていたけど、南イタリア地方のレストランで、ぼったくりに遭ったそうじゃないか」
「以前からそういう話はよく聞くわ」
「言葉が通じない日本人がターゲットになって、狙われているのだろうな」
「言えているわね」
日本は島国だから、そこで育った人間には、他国の人たちも同じに見えてしまうのだろう。
真人も、今回の欧州出張で多くを学びつつある。
EU域内の国々が持つ伝統や文化、長い歴史を捉えながら行動することの大切さを知った。
posted by シーサン at 15:07| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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