「スーザンには、大学院卒業までの4年間、私たちの会社の仕事に携わっていただくことになりました」
真人は、その決定までの話をして、両親へは事後報告になったことを詫びた。
「成長力の高い会社であると信じているので、4年間に限定する必要はありません。スーザンが望むなら、期限を区切らずずっと仕事をしてもらいたいと思っています。彼女の能力を存分に発揮してもらって、世界でも有数の会社に育て上げて下さい」
父のウィリアム・ヘイワードは、そう力強く真人を励ました。
ウィリアムは、スーザンが帰国してから、真人たちの会社のことを詳しく聞いているから、内容をよく理解しているのだ。
「わたしは、定年に至るまで、会社を離れません。動画配信会社として、世界ナンバーワンの会社になるよう、マサトの力になります」
スーザンは、隣に座った真人の手を握った。
「わたしも、スーザンがマサトたちの会社で長く仕事に携わることは、大賛成よ。成功するよう私たちも応援するわ」
母のステラも、大賛成だと云ってくれた。
「わたしが勤務するコンサルタントファームは、国内有数の会社のコンサルタントを引き受けていますから、あなたたちの会社のお役にたてるよう、それぞれの会社と交渉する準備があります。遠慮なくご希望をおっしゃってください」
「大変ありがたい申し出です。感謝します」
真人は、念頭にある西海岸地域の主なところに、ウェブカメラを設置したいと話した。
「そうですか、グランドキャニオンは国が管理していますが、その部門の責任者とも面識がありすから、何カ所か設置できるよう交渉しましょう」
ウィリアムは、真人の会社に積極的に関与していく思いを語ってくれた。
「ラスベガスにも、大変興味を抱いています」
真人は、思い描いている構想の一部を伝えた。
「あそこのエッフェル塔に狙いをつけたのは、さすがです。ラスベガス全体が見渡せますから、夜景などには人気だ出るでしょう」
真人の狙いは素晴らしいと、ウィリアムは関心しきりである。
「国立公園内は、設置が難しいでしょうね」
「グランドキャニオンもそうですが、交渉次第で実現の可能性は十分あります。ヨセミテ公園などに、狙いをつけているのですね」
「おっしゃる通りです」
「美観を損なわない程度に配慮して、考えていることを話し、交渉しましょう」
「お願いします」
ウィリアムの積極的な発言に真人は心から感動した。
ウィリアムは、スーザンの急速な変化に目を瞠り、その行く先に大きな成長の姿を思い描き始めている。
真人は、彼の話し言葉の中から、その強い思いをくみ取っている。
「大学に提出した企画書を事前に拝見しましたが、その内容は実に素晴らしいものでした」
日頃仕事上さまざまな企画書を作って提案しているウィリアムは、スーンが作り上げた企画書の素晴らしさを褒めた。
「作成上必要なポイントをスーザンに伝えたのですが、それを実によくまとめて立派な企画書に作り上げてくれました。
スーザンは素晴らしい能力の持ち主です」
真人は、スーザンの意欲と能力の高さを褒め称えた。
「あなたの考えていることを、上手くまとめた力は確かにすばらしいです。それを指導したあなたは、もっと素晴らしいです」
カリフォルニア大学校内に事務所を設けられたことは、ここでの事業が成功する約束を得たことになる。
そういう意味で、スーザンが果たした役割は、賞賛に値するのだ。
ウィリアムは、そのことを一番よく知る立場にある人だ。
だから、事務所開設が承認された時点で、会社の将来に大きな期待を抱いたのである。
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